米国の大学では、イスラエルのパレスチナに対する攻撃に対して非暴力のデモが行われており、名門私学のコロンビア大学では構内のハミルトン・ホールを占拠した学生を排除するために警察官100人以上が突入し、催涙ガスを使って強制排除しました。
対照的にブラウン大学では、理事会がイスラエルを支援する企業に対する経済的な供与を禁止することに合意し、学生は退去しました。またカリフォルニア大学アーバイン校では、警察の介入が不可避ではないかと予想される中、大学は言論・表現の自由は保障されなければならないと宣言し、警察介入を回避したとされています。
コロンビア大学の学長は、学生がハミルトン・ホールを占拠して警察以外選択肢はなかったと説明していますが、記事の筆者は他にも選択肢はあったし、実際に他の大学では強制力の行使を回避したとしています。
米国でもリベラルな校風で知られる東部の名門校が非暴力の抗議に対し、警察による強制排除という弾圧ともとれる行動に出たのは残念なことです。これでは中国が香港に対して行ったこと、台湾に対して主張していることとあまり変わらないのではないか、という疑問も起きてきます。
コロンビア大学は1986年8月私がアメリカALP(American Language Program)で過ごした場所でもあり、個人的にもこの場所で言論弾圧が起きたことが残念です。
いずれにしても、言論・表現の自由に対する強制力の行使は極めて慎重に行われなければならず、民主主義の価値が揺らいでいる現在では特に慎重に判断していただきたかった事件でした。
水野健司特許法律事務所
弁護士 水野健司