面白味が優位性を生み出す

 「よい戦略、悪い戦略」(リチャード・P・ルメルト著)は明快かつ鋭く一般の経営戦略に疑問を投げかける内容でした。

 優位性とは自社と競合との非対称性であり違いがあるから戦略上の優位性が発生するのだと指摘します。

 例えば、衣類について極めて優れた新素材の開発に成功したとしてもアパレルメーカーとして事業を始めることは全く異なる知見が必要になります。

 いってみれば陸上の1500メートル走で勝ったとして次に1万メートルで勝負しようというならわかるが、新事業を展開しようとするのは、ゴリラとレスリングをするようなものだということです。

 誰もが何らかの分野で優れた才能を持っているとしても、多くは特定の分野に限定されてのことであり、あらゆる分野で優れているなどということはまずないということです。

 新しい事業に挑戦したいという気持ちはあるが、やはりゴリラとレスリングをするのは嫌だということであれば見極める必要があるということです。

 自社や自分の優位性が生かせそうで他社とは異なる価値を提供できるために必要なことは「面白味がある」ということだそうです。

 他社では真似できない豊富な資源で新しい事業を創造してその優位性を生かしながら継続して利益を生み出せそうだという直感とそれを裏付ける分析があって優位性が生み出せるのだろうと思いました。

 著者によれば戦略とは具体的で明確な行動を占めるものでなければならず、世の中には、わかりきったことをくどくどと複雑に説明したり、単なる願望や目標を宣言することを戦略と取り違えていたり、重要なことに触れないで何の解決にもならないものであったりすることが驚くほど多いのが現実だということでした。

  また筆者がコンサルとしてこれらのことを指摘しても、筆者を見下したような態度をとって自らの意見を変えないことも驚くほど多いということでした。

 この著書を通じて戦略がなんであるかということを改めて正しく理解できたような印象を受けました。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)