著者は、ハーバード大学の脳神経学者で自らが脳出血に罹患し左脳の機能が失われていき、そこから回復するまでの経験をTEDで発表し、そのビデオはおそらく歴史上でも最高水準の再生回数となりました。実際の人間の脳を両手で持った印象的な場面を知っている方も多いと思います。
この著書では、左脳の思考と感情、右脳の感情と思考という4つのキャラを人格のように見立てて、それぞれ4つのキャラをどのように上手に操って豊かな人生を送ることができるかというテーマで科学的というよりは面白おかしく説明しています。
左脳の思考は秩序、順序をしかりと守り、すべてを秩序立てて計画します。
左脳の感情は不安、恐怖で過去の経験からネガティブな考え方をします。
一方、右脳の感情は今を創造的に楽しく過ごすことに全精力を使おうとします。
そして右脳の思考は深淵で自然とのつながり、遺伝子レベルの深い統一的な落ち着きをもちます。
人間は、この4つのキャラが様々な場面で相互に現れることで、一人の人間の人格が作られているということです。
著者によれば、この4つのキャラをよく知り、自分がどの場面でどのキャラが強いのかを観察することで、もっと上手に自分の脳付き合うことができるとしています。
著者が大切な人との死別の場面にあっても悲しむのではなく、死というものを深い理解のもとで穏やかに受け入れることができたという経験は、まさに彼女自身が自らの経験を通じて自らの心の在り方を知り、悟りの心境に至ったといえるのではないかと思いました。
自分の4つのキャラを知り、この脳とうまく付き合うことが今後の穏やかな生活を送るためには重要なことだと感じました。
水野健司特許法律事務所
弁護士 水野健司