「本当に知的なAI 人間の“脳内会議”を実装する」(日経サイエンス2024年6月号)

 大規模言語処理が可能な生成AIは世界を驚かせましたが、人間の知性に迫る汎用性人工知能(Artificial General Intelligence)の開発につながるのではないかと期待されていますが、言語モデルはあくまで言語の領域にとどまるものであるとされています。

 記事では、脳の機能分担であるグローバルワークスペースをいくつかのモジュールで実現することによって、脳の機能をAIで実現できるのではないかという取り組みです。

 既に一つの大規模な深層学習モデルではなく、複数の分散したネットワークを使うモデル自体は存在しているとのことですが、グローバルワークスペースの問題は、これら複数のモジュールをどのように協調させるかという問題です。

 生きている人間は意識があり、意識的にしろ無意識的にしろ、所定の脳内セクションで考えながら情報を受け渡すという作業を行っていますが、これがどのようになされているかについては何もわかっておらず、AIでこれを真似ることは難しいとされています。

 AI研究者でも人工知能に意識を持たせることに関しては、不可能と考えるのが主流だということですが、いずれにしてもAIでグローバルワークスペースを実現しようとすることは、脳の動きを解明することにつながっていくであろうということでした。

 確かに、人間は左脳と右脳のそれぞれ思考と感情の4つの機能を意識したり、意識を遠ざけたりしながら、汎用的な問題に対応していることから、これをAIでどのように実現するかは、人間の意識をコンピュータでどのように実現するかという問題になるのかもしれません。

 意識は生きていることから生じるもので生命と一体だということであれば、電気で動くコンピュータで同じ動きをさせることはできないと考えられますが、これに近いモデルをコンピュータでシミュレーションすることは、意識に対する理解が進むことで近いものが実現できる可能性はあるということではないかと思います。

 ただ、コンピュータは左脳の思考モデルには強い親和性があるものの、右脳の感情のような直感的で創造的なモデルは難しいのではないかという印象です。

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)