「未来を語る人 」(第1章 ジャレド・ダイアモンド「いま人類が直面する、最大の危機」)

 「銃・病原菌・鉄」、「危機と人類」等多数のベストセラーで著名なカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の教授に対する対談です。

 コロナの時期に行われたものですが、日本通でも知られているとおり日本について鋭い分析が述べられています。

 太平洋戦争の日本は日露戦争の成功経験が失敗につながったとしています。

 第1は、宣戦布告しないで奇襲攻撃を仕掛けて艦隊を破壊するというもので、アメリカ国民の感情を逆なですることになったとしています。

 第2は、制海権にこだわりミッドウェイを仕掛けたことで、これも戦略上のミスがあったとされています。

 そして資本主義と民主主義の関係について、資本主義が進めば富の格差が広がるのですが、これを是正するのが民主主義でなければならないはずです。しかし、現在はアマゾンの例のように、巨大な富を得ながらほとんど税金を支払わなくても済んでしまう租税制度になっており、明らかな欠陥です。

 しかしダイアモンド氏によれば、富の集まるところに権力が集まり、政治力を持つことになるのため、富の偏在はますます加速してしまうというパラドックスになっているということです。

 確かに、日本でも自民党は企業の政治献金を禁止するとはしないわけですし、マスコミも、電通トヨタがどれだけ悪いことをしても批判的な論調は抑えられているという印象が強いです。

 欧米や日本が、資本主義を取りつつも民主主義が機能しているといえるためには適正に富を再分配する必要があり、様々なアイデアも出ているということです。

 資本主義がある程度の格差を生むことは受け入れつつも、少数派の意見も確実に政治や税制度に反映されなければならないのでしょう。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)