「東京五輪のレガシーについて、話を聞かせてもらえないか?」(世界2024年7月号)

 パリ五輪を目前に新聞社社員の筆者が東京五輪について振り返ったものです。オリンピック・パラリンピックの感動的な選手の活躍と対照的に、権力と金の問題が一気に露出した大会でもありました。

 象徴的なのが五輪担当大臣であった森氏の発言問題と五輪と電通の癒着でした。当時のスポーツ界でいかに森氏が権力をもっておりどれだけ多くの人が「わきまえない」ことによって排除されてきたか、電通が国際スポーツ大会でどれだけ優遇されてきたかということがあげられます。

 そしてほぼ確定的であった札幌五輪が市民の反対意見で見直されたことがあげられます。

 コロナの影響で五輪が中止になってもIOCは一切保障しないという不平等契約も話題になりました。

 では東京五輪のレガシーは?と問われた場合、これらの既成概念、既得権を当然のように考えていた日本において、それでは通用しないということが明らかになったこと、IOCとの関係でも十分な検討なくして安易に五輪招致をして苦しむことはないということが明るみにでたということでしょう。

 いずれにしても東京五輪を開催してみて初めてわかったことも多いため、負の面も含めて貴重な財産といえるのかもしれません。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)