人の行動は「権力」によってどう変わるのか(デイビッド・デュボワ、「リーダーの持つ力」ハーバード・ビジネス・レビュー編集部)

 権力は人を堕落させるといいます。この論文では確かに権力は人の心理を変化させるがそれは2つの効果が表れる結果であり倫理的でないかそうでないかは時と場合によるとしています。

 まず権力をもつと意識している人はそうでない人よりも抑制が働かない場合が多くなるとしています(脱抑制感)。例えば高級自動車を運転している人はそうでない人よりも歩行者に道を譲ることが少ないということです。

 つぎに、権力をもつと意識している人は自己注目感が高まるとしています。例えば権力をもつ人はそうでない人よりも自己の取り分を大きくする傾向がみられるということです。

 この2つの相関については、自己の利益のために非倫理的な行動をとりやすくなるということであり、自分の利益を守るために上手に嘘をつくことができるとされています。

 もっとも組織のリーダーは言いにくいことも率直に言う必要がある場合もあり、自社の利益を主張しなければならない場面もあるため、これらの心理が必ずしも悪いとはいえないとしています。

 そして相手の立場で感じ、考えることで非倫理的な行動を防ぐことができるとしています。

 国家のリーダーにしても企業のリーダーにしてもあらゆる組織や社会で権力が支配する中でこのような傾向があるということを念頭において様々な行動の意味を理解するようにしたいと思います。

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)