日本では金融やコンサルタントなど高学歴のオフィスワーカーが、現場で働くエッセンシャルワーカー(EW)よりも高い賃金を得て、現場のEWは非正規の低賃金で搾取されてきたのではないか、という問題提起です。
人手が十分にあり、経済が発展していれば、そのような形であってもEWの労働環境はある程度維持できたのかもしれませんが、現在の日本では、奥能登の復興で建設・建築の人材不足が露呈したように破綻に向かっているように見えます。道路や建物が震災で破壊されても従前のように修復されるとは限らない、修復する人手もそれを処理する役場の人手も足りないという状況が今後は当たり前のように発生することが予想されます。
これは注文から2次、3次と下請けに出され、現場に近づくほど条件が厳しくなり、現場で働く人は最低賃金に近い形になってしまうという構造の問題点でもあります。人手不足のもとで、現場で働く人も経験やスキルが十分でないという問題もあります。
今後は建設・建築現場で働く人、ごみ回収で働く人、高齢者医療や介護に関わる人など現場のEWをリスペクトし、働く環境を整備していく必要があるでしょう。
過疎が深刻になりつつある奥能登でも人と人とがつながりあい、お互いに助け合うという本来の人間の社会性というものが大切になっているということは、今後都市部でも起きてくる流れに対応するヒントを与えてくれるように思います。
水野健司特許法律事務所
弁護士 水野健司