「ひとりで暮らす私たち──中高年シングル女性の生活」(世界2024年10月号より)

 年齢40歳以上で配偶者のいない単身生活女性を「中高年シングル女性」
というくくりでその困窮した生活が問題になっているという。多くの職場で女性の賃金は低く抑えられていること、中高年となると飲食店などで働くことが難しくなってきていることからかなり困難な生活を強いられる状況のようです。

 そして社会の目も厳しく、小泉政権時代から言われる自己責任論で、そのような身分になったのは自己の責任だという考え方が日本社会に浸透してきているといいます。

 東京都知事選で2位になった石丸氏は、労働者や生活者の視点が全くなく、高齢者、障害者などに対する共感はないといいます。そして自己責任が内在化している若者にとっては、明確な社会的弱者は保護される一方で自分たちは放っておかれることから、社会的な政策にはむしろ反発し、それなら自分たちのことは自分たちでするから、という考えになっていくといいます。

 確かに、高齢者は社会的弱者というよりも今や人口で多数派になろうとしていますし、障害者は手帳があれば優遇措置を受けることができます。一方若者は必ずしも満足な生活を送れている人ばかりでなく、高齢者優遇の社会で肩身の狭い思いをしているということもあります。実際に引きこもりの若者も多数います。

 そうなると日本人口の大多数が社会的弱者ではないかという疑問すら起きてくます。

 いずれにしてもステレオタイプ的に社会を見ることが危険であると改めて感じました。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)