「障害者差別を問い直す」(荒井 裕樹著 ちくま新書)

 健全者にとって身体障害者を受け入れることが恩恵をもたらす慈善的なものであってはならないという根本的な考え方から障害者団体である青い芝の会の闘いの歴史が詳しく紹介されています。

 障害者は弱くてかわいそうだから助けてあげるべきだというような狭い福祉感で接するのではなく、一人の人間として当然に一般社会に出ていくことができなければなりません。危険だからという理由でバスの乗車に介助者を要求することは障害を理由に条件をつけたことになり、不当な差別となるということです。

 あと障害者を介助している両親、介護職員、専門家と言われる人たちの意見は必ずしも障害者の意見とは一致しない。必ず障害者自身に話を聞くことが重要なこととなります。介助に疲れた母が障害者の子どもを殺すということが正当化されてはならないということです。