「証言天安門事件を目撃した日本人たち」(六四回顧録編集委員会 編 ミネルヴァ書房)

 1989年6月4日北京の天安門に居合わせた日本人記者が当時の事件の様子を描写しているものです。

 当時は、軍が市民に発砲して鎮圧したというだけで詳細はよくわかりませんでしたが、この書籍の記述からは武装警察、人民解放軍天安門に立てこもった学生の民主運動を威嚇しつつ、一部市民に発砲しつつ、鎮圧したということのようです。当時の報道からはテロのような大量無差別殺人が起きたかのような印象でしたが、集まった市民を排除するために市民に発砲し、死傷者が多数出たということのようです。市民も学生も武装警察が威嚇を超えて銃を発砲するとは思ってもいなかったということでした。そして天安門広場に立てこもった学生たちに対しては威嚇射撃で広場から排除したということでした。

 1989年はこの後ベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦が解体するという東欧の民主化の流れがあり、中国ではこれに逆行するように共産党民主化を抑制してしまったということでした。

 あれから35年近くが経過した現在、中国は経済的には高度成長を果たし、民主化を統一を果たしたドイツ、旧ソビエト、東欧の国々も民主主義の勝利というよりは自国優先主義的な流れが強くなってきており、当時市民が目指した民主主義は一体何だったのか。いままさに民主主義で達成しようとするものは何なのかが問われているように思います。

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