残業代として支払った手当が残業代の支払いとして認められない?

 最高裁令和2年3月30日判決(判タ 1476号49頁)、最高裁令和5年3月10日判決(判タ 1510号150頁)は、いずれも会社が特定の手当を残業代として支払ったと主張したにもかかわらず、時間外労働等の賃金を支払ったとは認められないとしました。そのため、その手当は通常の労働時間の賃金ということになり、改めて残業代を支払う必要が生じることになりました。

 これらの手当は実質的には通常の労働時間の賃金として支払うべきものであり、残業代が発生しないように操作したものと判断されたようです。

 いずれにしても会社は労働者の残業時間を管理して、できる限り残業が生じないようにしなければならず、その意味で労働時間を管理することが必須となります。

 売り上高に連動した歩合給を導入するにしても全体として十分な金額を支給しているからという言い訳が通用しないことに注意が必要です。

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