「6年ぶりの訪問で新しい日本を見た」(Newsweek日本語版2024年4月30日・5月7日合併号)

 米国人の筆者は6年ぶりに東京を訪れ、日本がリラックスして自信を深めているように見えたという。それは東京オリンピックを経て英語表記が増え、渋滞が緩和され、コロナを経て30%の人がリモートで働くようになり、混雑が緩和されたことなどの要因があるかもしれないとのことです。しかし、東京の若者は祖父の時代に日本が太平洋戦争で戦ったことを知らないという事実に接し、戦後80年が経とうとしている今、戦後の枠組みも既に過去のものになりつつあり、そして中国、韓国などアジア勢の台頭とアメリカのつまづきから国際的にも自国の主張をする国が増えている中、日本も自国の主張をしっかりとできる自信を備えているように見えたといいます。

 東京は、オリンピックでかなり整備されたようなので、東京とそれ以外の日本を同視することはできないと思いますが、ロシア、中国、イスラエル、そしてウクライナや欧州の国々も自国の利益は自国で守らなければならないし、様々な枠組みで仮想敵国となったり、むしろ協力関係になったりと複雑な利害が交錯する国際関係では、日本も自国の利益は自国で主張し、守らなければならないとい状況にあるといえるのでしょう。

 特に米国の選挙が終わるまでは、トランプ氏の保護主義的体制を前提とするのか、現在のリベラルな政策を前提とするのか判然とせず、日本は日本の立場で生きていくしかない、そのために国際的にも自国の主張をしていくしかないのでしょう。

 太平洋戦争後の枠組みが、あくまで軍事関係をベースにしているとすれば、文化や経済で日本も中国とはつながりを深めており、多元的に国家関係をとらえる必要があるのでしょう。

筆者は元CIA工作員のコラムニストということですが、このような国際的な経験値の高い人物が日本の、というより東京についてこのような印象を持ったということに新しい気付きがありました。

 

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)