システム開発を準委任とするメリット

 ソフトウエアによるシステム開発を業務委託で行う場合、通常は仕事の完成が目的となっていることから請負契約であると判断されます。

 しかし、場合によってはこれを準委任と判断した裁判例もあります。準委任となれば、仕事の完成が目的となるものではなくなるため、受託者の責任は軽減されるようにも思われます。プログラムの開発業者としても、例えば費やした時間や期間で対価を請求しやすくなり、支払いのリスクを回避できそうです。

 またシステム開発では、着手時に仕様が明確になっていないこともあり、開発途中で使用が変更になってしまったりして着手時の予定が崩れてしまうこともあります。

 この点、準委任としておくことで仕様変更にも対応しながら、全体として仕事の完成を目指すことは、メリットがありそうです。

 もっとも、システム開発はあくまでシステムが完成されなければ、本来の目的は達成したとはいえないため、受託者としても変化する状況を踏まえて、システムの完成に向けてスケジュールを管理し、業務を進めなければ、受託者としての注意義務を果たしたということはできないことになります。

 どちらの法律構成をとるにしても委託者の要求を聴取し、状況を報告しながら、現実的なシステムの完成までの手順を経る必要があることは変わらないということになります。