商売の在り方とやり方(Wedge2024年2月号)

 京都の老舗和菓子店とらやでは、羊羹の自動販売機を店内に備えたり、とらやカフェをオープンしたり、パンとチョコレートを使った商品など、老舗とは思えないような新しい取り組みで今も繁盛しているとのことです。

 また、おいしい和菓子をお役客さんに喜んでいただくという基本的な姿勢を大切にしているということでした。

 「古くして古きもの滅び 新しくして新しきものまた滅ぶ 古くして新しきもののみ 永遠にして不滅なり」という格言があり、あり方が成熟していて新しいものに対応しながら変化していくもののみが長く生き残れるとのことでした。

 理念を成熟させて守りながら、やり方は外部の変化に対応しながら変化していくことが大切なのだと改めて考えさせていただきました。

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「AIなら恥ずかしくない英会話レッスン」(日経パソコン2024年3月号)

 音声合成音声認識、生成AIの技術を組み合わせれば、語学レッスンもPCやスマホでできるようになることは、想像できるものかもしれません。

 Duolingo、speak、ELSA AIといったアプリでは、いずれも学習者との会話を通じて学習者の発音を修正したり、例文を示したりして、学習者がレベルに合わせて英会話を学べるようになっています。

 以前からテープを繰り返し聞いたり、ラジオやテレビの英会話番組で学習する方法はありましたが、AI技術を使うことで学習者の発音や表現方法をチェックして修正することが可能になっている点で一線を画しているのかもしれません。

 ただ、英会話は異文化との交流、外国人の思考態様や生活様式を人と人との接触を通じて学ぶということにも大きな意義があり、この点をどこまでカバーしているかということが英会話AIシステムの成功にかかっているように思います。

 逆にいえば、英語の発音や表現をマニュアル通りに矯正するだけであれば、人間の英会話講師に存在意義がなくなるということであり、機械でなく人でなければできないサービスを提供できなければ、英会話教室がAIにとって代わられる事態になるということでしょう。

 

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「報道 ニューズウィークはこう報じた」(Newsweek日本語版2024年4月16日号)

 オッペンハイマーの特集ですが長崎に投下された原子爆弾について1945年8月20日号のNewsweekの記事が抜粋で紹介されています。

 B29が8月9日長崎に原爆を投下すると閃光があり機体が大きく弾んだとされています。当時燃料切れが心配されたことからすぐに沖縄へと戻ったとのことでした。真珠湾から始まったこの戦争が圧倒的な勝利で終わったことでアメリカには祝福ムードが漂っていたということです。

 8月6日の原爆よりも3日後に投下された長崎型の原爆の方がはるかに優れたものであったが原子力エネルギーの効率としては0.1%に過ぎなかったということでした。

 記事では一瞬にして大量の人が殺されたというこの破壊力に恐怖を覚え、次の標的がどこになるのか、としています。

 当時は真珠湾の報復として化学の力で戦争を終わらせたという勝利感が強かったと思われますが原爆の圧倒的な破壊力に驚き、恐怖を覚え、今後この兵器がどこで使われるのかを憂慮する内容となっていました。まだ放射線が人体に及ぼす影響や放射性廃棄物の問題などについての認識はなく、未来の技術としての原子力が実践されたことの成果の方が強調されてもおかしくない時代だったと思いますが、この記事では長崎で原爆を経験した人物が見た光景についても言及しており、こちらの方は私たち日本人が歴史で学んできた原爆後の街の姿に近いものになっています。

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愛知同友会4月障害者自立応援委員会

 報告:山下明宏氏/すまいるサポート豊田代表者

 山下さんは産廃・リサイクル業で創業11年目現在53歳とのことでした。社員10名で共育委員会を経て障害者雇用に興味を持たれたとのことでした。聴覚障害者が騒音の中でも特に問題なく就労している姿をみて障害も特性であり有利になることがあると感じたとのことでした。全体的に高齢者が多い中22歳の障害者を採用して若い障害者をサポートする体制をとることができて全体的に適切な運営ができているとのことでした。

 ただ他の社員からは最低賃金とはいえ同じくらいの賃金で働いていることに疑問を持つ社員がいたとのことでどう説明すればよいか考えたとのことでした。同じ賃金であるとはいえ障害者を雇用しているということで助成金をもらっていることもあるということでした。

 グループ討論の中で障害特性が話題になり統合失調症精神障害の場合は定着が難しくなることもあるという話も出ました。

 創業11年で積極的に障害者雇用に取り組んでいるということで同友会で学ぶ企業らしく進んだ経営をされているとの印象でした。 

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残業代として支払った手当が残業代の支払いとして認められない?

 最高裁令和2年3月30日判決(判タ 1476号49頁)、最高裁令和5年3月10日判決(判タ 1510号150頁)は、いずれも会社が特定の手当を残業代として支払ったと主張したにもかかわらず、時間外労働等の賃金を支払ったとは認められないとしました。そのため、その手当は通常の労働時間の賃金ということになり、改めて残業代を支払う必要が生じることになりました。

 これらの手当は実質的には通常の労働時間の賃金として支払うべきものであり、残業代が発生しないように操作したものと判断されたようです。

 いずれにしても会社は労働者の残業時間を管理して、できる限り残業が生じないようにしなければならず、その意味で労働時間を管理することが必須となります。

 売り上高に連動した歩合給を導入するにしても全体として十分な金額を支給しているからという言い訳が通用しないことに注意が必要です。

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「中東 バイデンに喧嘩を売るネタニヤフの頭の中」(Newsweek日本語版2024年4月9日号)

 2024年3月25日国連安保理でガザでの停戦にアメリカが拒否権を行使せず棄権しネタニヤフはこれに反発する姿勢を見せアメリカとの関係が冷え込んでいるとのことです。

 記事によればネタニヤフは国内での支持母体である極右派からの支持を失うことを恐れてパレスチナとの停戦合意に向けた政策をとることができなくなっているとのことです。

 アラブ諸国に取り囲まれたイスラエルは常に孤立無援であり自らの手で宗教と民族を守らなければならなかったという歴史がありその危害が現在の繁栄をもたらしたといいます。もっともそれはアメリカが支援をしてきたからでありネタニヤフがアメリカや世界世論の静止を振り切ってラファへの攻撃に及んだ時、ますます孤立無援となったイスラエルが進むのは破滅か、繁栄か。いずれにしても国連中心で秩序が維持できない地域がまた一つ増えることになってしまいます。

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「証言天安門事件を目撃した日本人たち」(六四回顧録編集委員会 編 ミネルヴァ書房)

 1989年6月4日北京の天安門に居合わせた日本人記者が当時の事件の様子を描写しているものです。

 当時は、軍が市民に発砲して鎮圧したというだけで詳細はよくわかりませんでしたが、この書籍の記述からは武装警察、人民解放軍天安門に立てこもった学生の民主運動を威嚇しつつ、一部市民に発砲しつつ、鎮圧したということのようです。当時の報道からはテロのような大量無差別殺人が起きたかのような印象でしたが、集まった市民を排除するために市民に発砲し、死傷者が多数出たということのようです。市民も学生も武装警察が威嚇を超えて銃を発砲するとは思ってもいなかったということでした。そして天安門広場に立てこもった学生たちに対しては威嚇射撃で広場から排除したということでした。

 1989年はこの後ベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦が解体するという東欧の民主化の流れがあり、中国ではこれに逆行するように共産党民主化を抑制してしまったということでした。

 あれから35年近くが経過した現在、中国は経済的には高度成長を果たし、民主化を統一を果たしたドイツ、旧ソビエト、東欧の国々も民主主義の勝利というよりは自国優先主義的な流れが強くなってきており、当時市民が目指した民主主義は一体何だったのか。いままさに民主主義で達成しようとするものは何なのかが問われているように思います。

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