イスラエル民主主義のつかの間の勝利 (Newsweek日本語版2024年1月30日号)

 イスラエル最高裁判所は2024年1月、ネタニヤフ首相が率いる与党が成立させた2つの基本法修正案について1つは無効、1つは効力を先延ばしにする判断を下しました。最高裁は、イスラエルユダヤ人国家であり、民主国家であることを理由に、基本法の概念を無効にするような法律は無効であるとしました。

 イスラエルガザ地区に対する攻撃は国際的には人道に反するものであり、批判が多いところですが、イスラエルの1000人以上の人々が殺害され、多くの人たちが人質にとられていることを考えれば、内政的にはネタニヤフ首相の強硬的な攻撃もやむを得ない部分があり、戦時中の国家がこうした首相の考え方に強い共感を持つことも理解できるところでです。

 戦時中はどこの国でも大抵、強い連帯感が示されてきています。

 今回のイスラエル最高裁の判断は、戦時中のリーダーに対して、民主的な観点から抑制をかけるものであり、画期的なものだといえます。

 ただし、最高裁の構成も変化があり、今後もこのような民主的なコントロールを期待できるか否かは分からないということであり、イスラエルの今後を注意して観察する必要がありそうです。

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