会社は従業員のプライバシーにどこまで関与できるか

 会社の経営者が従業員のプライバシーにどこまで介入できるかは判断が難しい場合もあります。

 例えば、勤務時間外の政治活動や宗教活動を調査するために後をつけたり、探偵を使って調査することは特に合理的理由がなく、違法となるでしょう。

 しかし、会社が従業員の電子メールを監視することは業務上必要と認められる範囲であれば、可能であり違法ではないとされています。また従業員が備品などを隠したりしないように、必要な範囲で所持品検査を行うことも違法ではないとされています。

 ただし、現在は男女を明確に区別することさえも疑問が向けられるように、プライバシーの概念も変化しつつあることを考えると従前の裁判例の背景事情とは状況が変わっている可能性も考えられます。

 いずれにしても、従業員のプライバシーという人格的利益と会社の業務の必要性とを考慮して、社会通念上相当か否かを具体的に検討する必要があります。