プーチン体制に抵抗し続け、刑務所で死亡したナワリヌイ氏については日本を含め欧米では英雄的な評価がなされていますが、同氏は過去に人種差別的なナショナリズムを主張していたこともあり、事情はそれほど単純ではないことがこの2つの記事からもわかります。
ナワリヌイ氏の過去の言動がウクライナの人々を傷つけていたことから、現在最も反プーチンであるはずのウクライナ国民がナワリヌイ氏を支持していないのです。
ロシア国内ではナワリヌイ氏の政治的影響力は極めて小さくなっている一方、少数ではあるものの反プーチンン派の支持を得ていたことは確かであり、彼の死はプーチン政権にとって勝利であることは確かなようです。
また一方で、ソビエト時代から現在のプーチン政権でも投獄されることがわかっていながら、自分の信念に従って行動した人々は、少なからず存在しており、ナワリヌイ氏もその一人であることも間違いのない事実でしょう。
ナワリヌイ氏がドキュメンタリー映画の中で語った言葉に「わかりきったことだがあきらめてはいけない。」というのがあるそうです。
ナワリヌイ氏の過去の言動を無視することはできませんが、どの時代どの体制にあっても、自分の信念に従って行動する少数派は必ず存在していたのであり、実際に世界を変えたのもその少数派なのだということを改めて思い起こした事件でした。