イェール大学人気講義天才~その「隠れた習慣」を解き明かす (クレイグ・ライト)

 音楽家として天才になれなかったとする著者が、歴史上天才と呼ばれた人たちの習慣について比較し検討していく中で、多くの天才が強い好奇心と情熱・執念をもって取り組むことで偉大な成果を生み出したことを導き出しています。

 その中でも特に女性に天才と呼ばれる歴史上の人物が極端に少なく、やっと8位にキュリー夫人があげられるとされています。

 キュリー夫人は研究中も困窮する中、簡素な実験施設でラジウムといった放射性物質を取り出すことに成功し、ノーベル賞を受賞しますが、放射性物質が体に悪影響を与えることを知りながら、実験を続けたとされています。

 音楽家にしても作家にしても才能がありながら、女性ということで機会を与えられずに成果を得ることができなかった人物は数多く存在するということで、女性に対するバイアスは男性よりも女性のほうが強く、女性の方が女性に厳しく接することが多いということでした。

 今では世界的に著名な女性作家でも最初は男性の名前で売り込んでいたことも珍しいことではないということです。

 また学校教育についても極めて大きな成果を生み出すという観点からは疑問であり、アインシュタインなど多くの天才は自ら多くの書物を読み、独学で自らの専門知識を得ていることが多いということにも注目すべきでしょう。

 著書では大学に入学するための標準テストの有効性についても疑問を指摘しています。

 日本に比較すれば、多様性が受け入れられているアメリカの社会ですら過去の伝統的な考え方が根強く、革新的な成果を得るための障害になっていることがわかります。 

 いずれにしても、潜在的な常識が創造的な成果を生む上で大きな障害となっていることにもっと注意すべきでしょう。

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