「技術革新と法規制のもどかしい関係」(日経パソコン2024年5月号)

 電動キックボードは他国でも事故の危険性から規制をかける傾向にあり、またUberなどのライドシェアは、国固有の制度上の問題から規制がかかるのはやむを得ないという内容でした。

 また自転車利用者のイヤホンの規制は、外部の音を取り入れる製品も開発されているため、警察では声をかけてみて聞こえているか否かを確認してから取り締まるという運用にされているようです。

 ここで確認しなければならないのは、技術革新にしてもビジネス上のイノベーションにしても従前にないものを取り入れようとすれば、リスクは必ずつきものであるということです。

 ある程度高い確率で予想できるリスクについては準備が必要でしょうが、リスクを恐れて試すこと自体をしなければ、どのような問題が発生するかすら、わからないということです。

 他国で採用された実例を見てから、リスクを低減した形で取り入れようとすれば、イノベーションで世界の先頭に立つことはできないでしょう。

 その意味で日本では、既得権益を維持しようとする力が大きく、また漠然としたリスクで責任を取りたがらない姿勢を改めなければ、イノベーションアメリカや中国と競っていくことは難しくなるように思います。

 

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)