「AIをより創造的に活用する方法」(日経パソコン2024年8月26日号記事「本田雅一の先読みジャーナル」より)

 この記事では、生成AIを使って創造的な原稿を執筆するための手順が紹介されています。

 私が考えるポイントは、入力させる元情報として英語の記事など筆者が特に参考にしたいと考える情報をPDFや音声などで入力させて、あらすじを目次で指定するなどして、AIが文脈を外さないようにコントロールしているところではないかと思いました。

 またAIの記事は、あくまでもドラフトであり、それ自体が創造的なものになることは期待できないため、創造的な視点は追加し修正する必要があるとのことでした。

 生成AIはあくまでも大量のテキストデータを処理しているだけなので新しいアイデアを創造するということはありません。例えば、iPhoneが創造される前にいくら従前の技術を覚えこませてもAIがiPhoneを創造することは考え難いです。

 一方で、「THINK BIGGER 最高の発想を生む方法 コロンビア大学ビジネススクール」(シーナ・アイエンガー著)で紹介されているように創造性というものは、これまでの知識の組み合わせや修正から得られるものである、という考察からすれば大量のテキストデータを集積している言語モデルが創造性に近い者を生み出す可能性はあるのではないか、とも思います。

 少なくとも生成AIが人間の創造的な活動を知識の量、記憶の正確さなどで補助的な働きをすることは現時点でも確認されており、その補助的な役割が徐々に本質的な部分に近づいてくるのは間違いないように思います。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)