老人介護施設の実験からわかる自主的で活発な組織を作る小さな違い (選択の科学、第1講、コロンビア大学ビジネススクール特別講義、シーナ・アイエンガー著)

 コネチカット州の老人向け介護施設で1976年に行われた研究が紹介されています。

 一つ目のグループAでは、植木鉢を与えられるがその世話は職員が行う、週2回映画が見られるよう職員が手配する、他の使用者と交流することも許可される、そして職員が入居者の生活を快適なものとなるよう責任をもって運営する、とされました。

 もう一方のグループBでは、自由に一つ植木鉢を選び世話は入居者が行う、週2回映画を上映するのでどちらに参加してもよい、他の入居者と交流するのは入居者の自由である、施設の生活を楽しいものにするかそうでなくするかは入居者の選択にかかっている、としました。

 そして両グループに対しても全く同じサービスを提供して、3週間後の結果、グループBでは活発に入居者の交流が行われ、健康状態も良かったのに対して、グループAでは健康を損なう入居者の割合が多かったとのことでした。

 実際には、グループBは少しだけ自由が与えられただけ、正確には自由が与えられていると思わされただけで、客観的には全く同じ環境でありながら顕著な違いが生ずることに大きな驚きと重要なヒントが隠されているように思います。

 つまり人間は、選択肢が与えられていることが健康状態や自主性、活発な組織を作るうえで極めて重要であるということです。

施設や環境を大きく変えるのは、費用の面でも難しいことがありますが、人との接し方を少しだけ工夫するだけで、その相手は自由で開放された気分になるか、閉じ込められて監視されているように感じるかが変わるのだということです。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)