「80周年 ノルマンディー上陸作戦に学ぶ経営戦略」(文藝春秋2024年7月号)

 日本では終戦から79年ということですがノルマンディー上陸作戦からはこの6月で80周年を迎えたということです。

 ノルマンディー上陸作戦はドイツが支配するフランスをアメリカ、イギリス、カナダの連合軍が取り戻すという大きな軍事作戦でしたが、振り返ってみると連合軍の準備は周到であったのに対し、ドイツ軍には作戦上、指揮命令系統についても問題があったとされています。

 当時のドイツ軍は英米軍がフランスの海岸線から攻撃を仕掛けること自体は予測していたものの、それはノルマンディーの海岸線ではなく、交通の要所とされていたカレーからであると信じていたようでした。実際にノルマンディーから上陸が始まってもそれが陽動作戦だと考えていたようで、初期段階で大きなミスを犯していたということです。

 また当時のドイツ軍では、海岸線の水際で撃退すべきとする案と内陸まで引き寄せてから撃退すべきとする案とが対立しており、ヒトラーは両者の折衷案を採用してかなり中途半端な体制になったということでした。

 そして実際に上陸作戦を成功させるためには、燃料、弾薬、食料等を大量に補給し続ける必要があり、英米軍は海岸線に2か所の物資補充のための簡易な防波堤と桟橋をもつ埠頭を作り、そのうちの1つが上手く機能して物資を補給しつづけたということでした。

 連合軍という意思統一が難しい中でもアイゼンハワーは指揮官としても人間としてもすぐれた面を見せて他の指揮官の信頼を得ていたということでした。

 いずれにしても大舞台を迅速に動かすという作戦を成功させるためには、正確な現状把握、周到な準備がこの作戦を成功させたということでしょう。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

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