「日本列島創生論 地方は国家の希望なり」(石破茂著 株式会社 新潮社)

 令和6年10月1日の臨時国会石破茂氏が第102代内閣総理大臣に指名されました。この著書は2017年に出版されたものですが初代地方創生大臣であったこともあり地方の活性化に向けてさまざまなアイデアと考え方が示されていました。

 ブラックホールのように若い年代の人口を飲み込む東京は特に女性が進学や就職のタイミングで地方から移り住みそのまま地方に戻らない。しかも東京での出生率は全国的にも低いため地方の人口減少と過疎化を招いており、もはや地方では普通の生活が消えていくという非常事態にあるといわれています。

 石破首相の考え方は、地方は地方で創生のためのアイデアを出さなければならず、政府がこれに関与すべきではないとされ、地方でも単に中央政府から財源を支出してもらうという姿勢ではいけないというものです。

 そして地方がその自然の恵みやアイデアで町おこしに成功した例は数多くあり、企業が戦略を立てるように地方でも戦略を立ててPDCAサイクルを回して検証すべきであるというビジネス的なアプローチを推奨しています。

 地方自治の本旨を踏まえながらも現実的・実践的なアプローチで成果を出すべきであるという考え方は会社経営にも通じるものであり共感できます。

 そして何よりも私たち住民がきちんと地方自治に関与して適切なリーダーを選ぶことが何より大切だとしています。

 住民と首長が能動的に地方の将来を考え、政府任せにしない、そして地方自治体がどのように地方創生に取り組むかは地方によって格差が出てくることになるだろうとしています。

 私自身も地域の活性化に何ができるか、自社が地域にどのような役割を果たしていくのかといったことを模索しているところであり、この著書は様々な示唆を得られるものでした。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)